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2017年8月10日 (木)

【読書感想】闇の展覧会[1]

 『闇の展覧会[1]』
 カービー・マッコリ― 編、矢野浩三朗、真野明裕 訳、ハヤカワNV。
 30年くらい前のホラー小説アンソロジーです。
 編者が意図的にさまざまなジャンルの作家から集めているところが特色で、大変評価が高いそうな。
 
 で、読み始めようとしたのだが。
 え、三分冊?
 一冊しかないよ?(「闇の展覧会・霧」古本)
 しょうがねえなあ、残りも買うか。
 …すでに、絶版で、古書はプレミア価格。
 うえええ。
 おっと。
 三分冊なのは新版で、旧版は2冊?
 ってか、これでいいじゃん、安いし。
 …というわけで、新版は捨てて、旧版をネット通販した次第。
■遅番
 デニス・エチスン 著。
 町の店の遅番の店員たちの様子が変だ、胡乱だ、不気味だ。
 っていいうか、あいつ、死ななかったっけ?
 死人が腐る前にゾンビ化してバイトさせれて、廃物利用の金儲け。
 アメリカの街の空気感なんぞはなかなか良いものの、まあ、今となってはパンチに欠けるB級ホラーかな。
■敵
 アイザック・バシェビス・シンガー 著。
 客船での旅の途中、ひたすら周囲の人間から嫌がらせを受ける男の話。
 なんで俺が。
 …うん、まあ、だからどうした、って話だよな…。
■闇の天使
 エドワード・ブライアント 著。
 占い師の女が、昔の恋人(ゲス野郎)にする復讐とは。
 ま、彼女、魔女なんですね。
 それで、たまたま出会った昔の恋人に呪いをかける。
 どんなかというと、わざと妊娠して(彼の子だ)、その子供を彼に転移させる。
 彼は体調不良だと思ってるが、本当は妊娠だ。
 そして、男には産道なんか備わっていないのである。
 エゲツねえ…。
 それはそうと、主人公が、中年の独身女性だってことがわかるまで、数ページかかるんだよね。
 ダメだと思うんだよね、こういう勿体付け方。
 それまで読んだ文章のイメージが変わっちゃうじゃん。
 「いつからわたしが男だと思ってた?」みたいなトリックでもないし。
■三十六年の最高水位点
 デヴィス・グラップ 著。
 傑作「狩人の夜」の作者ですね。
 その川のほとり、水が大嫌いな男は、なぜか埠頭管理人をしている。
 その妻は、いつから生きているのかわからないような老婆である。
 老婆、川の精か魚の女怪か、夜になると美女に変わる(戻る?)。
 美女は、川の氾濫を予言する、水嫌いの男は自分を脅かすための嘘だといって信じない(信じたくない)。
 …ホラーというより、アメリカの昔話という感じですなあ。
 これはこれで。
■マーク・インゲストリ ―客の物語
 ロバート・エイクマン 著。
 イギリスの都市伝説、次々と客を殺す理髪師スウィーニー・トッドのお話(この話は無数にあるらしい)。
 客になった男の恐怖と不思議体験、脱出…だが、まあ、悪くないが。
 もうちょっと趣があれば。
 いや、訳が悪いのかなあ、すげえ読みづらいんだよな、どれも。
■夏の終わるころ
 カール・エドワード・ワグナー 著。
 街の寂れた郊外、夏になると葛生い茂る。
 そのあたりには、もうほとんど住んでいる者もいないのだが。
 どうも、そのあたりでは、不審な死者、行方不明者が出たりする。
 たいていは、犬だの酔っ払いだのだから、だれも気にしないが。
 草むらの下には、何かが住んでるんですね。
 どうも、戦後、日本に進駐した兵隊さんが、日本から葛を持ち込んだのですが、どうやら、そこに住むそいつらも一緒に持ってきてしまったようですね。
 まあ、ホラー短編としては悪くはない。
■ビンゴ・マスター
 ジョイス・キャロル・オーツ 著。
 主人公は、アラフォーの生真面目な女性作家。
 男になんか興味はなかったが、いい加減に初体験をしようと、盛り場へ繰り出すが、相手にされず。
 で、最近できたカジノへ行ったら、男っぷりよいオーナーに酒に誘われ、部屋に誘われ。
 この機を逃さじと服を脱ぎ始めたら、男は激怒した。
 
 「人はそんなふうにはしない!」
 
 彼女は殴られ、蹴りだされ、泣きながら帰る、なんでなんでこんなことに?
 …なんだこれ。
 女性の著者にして、非リア充女性に対するこの冷たい目線はなんなんだろう…。
 文学なのか…?
 まあ、ブラックユーモアだと思えば、インパクトのある面白い話ではありますな。
 あごヒゲを生やし、知り得ないことを知っているこの男、「悪魔」かなあ?
 真面目そうな婦人を見つけて堕落させるつもりだったのに…ってとこか…?
■探偵、夢を解く
 ジーン・ウルフ 著。
 何人かの人が見る悪夢の理由をあばいて欲しい、と依頼を受けた探偵のお話。
 ハードボイルド風のオカルト小説か。
 まあ、悪夢は「キリスト」が見せていたようですね、啓示の一種か。
 うーん、面白くはないな…。
■霧
 スティーブン・キング 著。
 これが初出。本書の半分はこの中編。
 10年前に別の短編集で読んだが。
 とつぜん、町は霧に覆われた。
 霧の中には怪物がいるようだ。
 スーパーマーケットに閉じ込められた人々は。
 ゾンビ映画の亜種でしょうな。
 まあ、中編という有利さはあるにせよ、本書の他の作品と比べると、あらゆる点で技量は突出している。
 怪奇現象をネタにしつつ、人間を描き出しているところ(正しいゾンビ映画だ)。
 さすがキングだなあ。
 まあ、たかだかスーパーの中の話で、やや冗長な感じはするけれど。
 が。
 まあ。
 全体としては、大した本でもなく…。
 ああ、なるほど、「霧」に登場するモンスターは、「ダーク・タワー」の世界からやってきたファンタジーモンスターなのか。
 [2]はおいといて、放置してる「ダーク・タワー」を読もうかなあ。
 映画になるしなあ。

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